マスク越しの恋

突然、彼に唇を奪われた。
渋谷のスクランブル交差点

雑踏の中

周りの人達は気付かない振りをしてくれているのかな?

マスク越しに温もりが伝わってきた。

心臓がドキドキして何も言えなかった。
「何でこんなところで?あれ?」
身体中の力が抜けて動けなくなった。

俺は急に何者かに背中を押されたような気がした。
でも、それは他人のせいにしようとするズルい言い訳
「ここなら同じ方向に進むしかないから
何があってもついてきてくれるかなと思って」

交差点を渡り終えて振り向くと彼女が倒れていた。

歩行者用の信号機が点滅している。
急いで抱きかかえて交差点を出る。
力が抜けた人間の身体って大きな水風船のようだった。

「ビックリした。」
「怪我はない?」
「大丈夫、ハートがちょっと傷ついたかな?」
「ゴメン」
「でも、この傷が癒えるようにしてね。」
「う、うん。
でも、どうすれば良いのかな?」
「君がそこにいれば良いんじゃない?」
アハハハハハハ
二人は同じように笑った。

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